2023.12.28

獣医師 南 毅生のブログ (その49)

外科手術のはなし
キアリ様奇形

キアリ様奇形に関して話をしたいと思います。

この奇形は、後頭骨の形成不全により、頚椎の起始部の背側からの圧迫によって頚椎中心管が拡張し、内側から脊髄を圧迫する疾患です。これは、脊髄液の流れに障害ができるために起こります。

症状としては、初期は頚椎起始部を掻きますがその動作は耳を掻いているように見え、徐々に神経障害が発生する疾患です。

治療は、後頭口の背側の骨を切除し、背側から頚椎を圧迫する靭帯を切断することで脊髄の圧迫を除去して脊髄液の流れを正常に戻す外科処置となります。

この疾患は人でも40歳以降で見られる疾患であることからも、犬での5歳以上の成犬に見られる疾患です。
なお、後頭口形成異常とは、全く異なる病態ですので鑑別診断が必要です。

これらの手術手技に関して、JCABINでは、先生方とこの様な内容を細かく話し合っています。興味のある方は、是非登録してご参加ください。

文責
南 毅生

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