2023.09.16

獣医師 南 毅生のブログ (その37)

外科手術のはなし

胸椎・腰椎ヘルニア

【胸椎・腰椎疾患】から胸椎・腰椎ヘルニアに関して話をしたいと思います。

この部分で、圧倒的に発生の多い場所は、第13胸椎と第1腰椎になります。

 

この理由は、肋骨で覆われた胸腔の部分が、解剖的に腹部の全ての臓器の重量が負重している胸椎・腰椎(特に第13胸椎・第1腰椎)にかかることになるからです。
また、第10-13胸椎は最も狭い椎骨腔であることから、画像診断的に軽度に見えても神経障害が重度であることが多いです。

 

椎間板ヘルニアの手術に関しては、画像診断によってその部位やヘルニア物質の突出の程度を判断し、背側椎弓切除術・片側椎弓切除術等、手術方法を決定します。
この手術で最も重要なことは、術中に脊髄を触らないということです。
例えば、ロンジュールを挿入する際にその先端が脊髄に接触することも考えられます。術後の神経状況が術前よりも低下することは絶対に避けたいことです。
そこで、ヘルニア物質の除去と減圧方法に関しては、現在では椎弓切除の位置を各椎体で考慮して行い、ほとんど脊髄に触れることなく切除する方法をとっています。この方法を行うことで、術後の神経状態は術前と全く変化なく手術を実施することができます。

 

これらの手術手技に関して、JCABINでは、先生方とこの様な内容を細かく話し合っています。興味のある方は、是非登録してご参加ください。

文責
南 毅生

 

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