2023.12.28

獣医師 南毅生のブログ (その43)

外科手術のはなし
腹部血管異常

今回は、門脈体循環シャント(PSS)に関して考えたいと思います。

肝臓の栄養血管である門脈が、直接静脈に開通(シャント血管)して肝臓を介さない血流になります。そのため、解毒の必要な多種の物質が体循環に流れさまざまな症状を発生することになります。
 
この疾患の処置として、シャント血管を遮断する方法が外科的に実施されます。
過去には、術中のシャント血管の造影・シャント血管の部分結紮・門脈圧の測定を行う複雑な手術手技が行われていました

しかし、現在では、造影CT検査によるシャント血管の確認・セロハンによるシャント血管の閉塞を行なっています。術中の門脈圧の測定も必要がないことから、30分以内で処理ができる外科手術になっています。

肝臓内のシャント血管の閉塞は、ステントと閉塞物質を使用して行われますが、準備できるステントの形状などによっては実施できない症例も存在することから、今後の改善が望まれます

これらの手術手技に関して、JCABINでは毎月2回水曜日に外科手技セミナーを開催しています。
えっ、こんな方法あったの?といった話も交えながら講義質ますので、ご興味ある方はご参加ください。

文責
南 毅生

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